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グリップルジャパン株式会社

グリップルジャパン株式会社

神戸からイギリス発の革新的技術を発信

2023.01.12

グリップルジャパン株式会社代表取締役牧野 貴浩 氏

兵庫ふ頭

イギリスに本社を置く建築資材メーカー、グリップル社の日本法人本社、グリップルジャパン株式会社は、2018年、神戸で設立されました。グリップル社はワイヤロープを使った独自の工法を開発、世界90カ国に展開しており、その日本本社としてさらなる事業拡大を目指しています。代表取締役の牧野貴浩氏に、神戸を日本での拠点とした理由や今後の展望などについて聞きました。

省人・省力化のニーズにかなうイギリス発ワイヤ製品を販売

親会社のグリップル社は1985年に設立され、ワイヤジョイント金具の設計、製造を行っています。電気、空調工事などにおける落下防止や転倒防止の革新的な製品、工法を持ち、世界90カ国で取り引きしています。

当社はアメリカ、カナダ、フランス、ポーランド、インドに続く6カ所目の現地法人として、2018年に誕生しました。本国から製品を輸入し、機能、工法などを丁寧に説明しながら、お客さまに適切な使い方をしていただくため適切な価格でご提供すべく、コンサルティング販売を行っています。

当社のワイヤ製品はポテンシャルが非常に高いのです。それがあまり知られていないので、どのような使い方があり、どのようなメリットがあるのか、提案していきます。より早く正確に施工でき、省人・省力化のニーズにかないますし、製造時に排出するCO2を約90%削減できるため、脱炭素社会へのニーズにも応えられるなど付加価値も大きいと思います。2020年11月には、建築技術の評価機関である一般社団法人日本建築センターから「B種耐震振れ止めワイヤ工法」として一般評定を取得しています。

国内業界ではまだ目新しい製品、工法ですから、まず知っていただく、ご理解いただいてファンを増やしていこうと全国各地を飛び回っています。

神戸市、兵庫県、JETRO三者一体となったサポートが決め手に

日本での拠点としてなぜ神戸を選んだのか、その理由はいくつかありますが、まずグリップルグループとして大都市に本社を置く文化がないことがあげられます。製品が画期的なものなので、どちらかと言えば新しいチャレンジが受け入れやすいところから市場を開拓していくためです。ですので首都圏を外して関西圏で探しました。

第2の理由は神戸市、兵庫県、JETROの皆さまの手厚いサポートです。ワンストップで親身になってサポートしていただきました。私個人としては選択理由のほぼ9割を占めますね。物件を一緒に見に行っていただいたり、金融機関をご紹介いただいたり、大変助かりました。神戸市の外国・外資系企業等オフィス賃料補助金を活用させていただけたのも、非常に心強いものでした。

第3にアクセスの良さもあります。当社は全国を市場として視野に入れているので、新幹線と空港がある、しかもその駅と空港が近いことは大きなプラス要素です。新幹線と飛行機をうまく使えば、とても便利です。私は関東出身なので、実は九州が遠く感じるのです。神戸は日本の真ん中だと捉えています。

市内でここ兵庫区の倉庫を選んだのは、神戸港が近いこと、求めていた広さと賃料のバランスなど条件がそろっていたからです。さらにご縁もあったのかと思います。というのは、本国から役員が来日し車で市内を回っていたとき、この辺りで「こんな感じだ」という話になったのですが、空きがなかったのです。ところが、しばらくして倉庫が空き、入居を決めました。役員たちにとっては、この辺りが世界各地の社と共通する立地環境で響くものがあったのでしょうね。

牧野 貴浩 氏

地域に溶け込み、貢献することを大切に。

神戸で本社を開設して4年余り、やはり正解でした。まず製品を配送する上でまったく不便がありません。東京に翌日の午前中に届けることができます。また港に近く、製品を十分に確保できる広さの倉庫ですので、お客さまの急なご要望にもスムーズに応えられます。市場開拓を進める上で、大きな強みとなっています。

神戸は海と山が近く、おしゃれな街並みで、人々も穏やか。心地よく働いています。本国役員をはじめ、世界各国のスタッフからも「神戸に行きたい」との声が多いのですよ。グリップル社は「人が文化」との考え方があり、グローバルですが家族的な雰囲気です。従業員同士が互いに思いやり、会社と積極的に関わっていく文化があります。

さらに従業員同士だけでなく、それぞれの地域に溶け込み、貢献することも大切にしています。各現地法人の利益の1%をその国でボランティア活動にあてることが義務付けられており、皆、寄付だけでなく自分たちの労働力を伴う活動を行っています。2022年と2023年は社員全員で「阪神淡路大震災1.17のつどい」に参加させていただきました。

建築業界全体の効率アップに貢献していきたい。

ほぼゼロからスタートして、おかげさまで当社の製品、工法が建築業界に浸透し始めたと手応えを感じています。2023年度はさらに浸透させるべく、注力していきます。

新年度からは増員し、営業体制をより強化します。従業員一人ひとりに成功体験を一つでも多く経験してもらえるよう、これまで以上にサポートしていきたいと考えています。グリップル社と私がそうであるように、会社とウィンウィンの関係をつくってほしいのです。

新製品の開発にも取り組む予定で、イギリス本社から日本へのさらなる投資が決定しています。どのような製品が日本に合うのか、本国の担当者が1カ月滞在してリサーチを行い、その後、私もアメリカの市場を1カ月かけてじっくり見てきます。その上で担当者たちとともに日本向けの新製品をつくり出していきます。

神戸、大阪を中心に、お客さまの多様なニーズにお応えするため、当社が発注社となりともに仕事を進めていく企業も少しずつ増えてきています。

神戸にしっかりと根を張り、神戸から全国へ、アジアへと当社の技術を発信していきます。そして一企業として微々たるものではありますが、建築業界全体の効率アップに貢献できればと願っています。

グリップルジャパン株式会社の方々と神戸市担当職員
グリップルジャパン株式会社

グリップルジャパン株式会社

設立 2018年
事業内容 建築・土木・農業・造園資材の輸入販売
所在地
〒652-0845 神戸市兵庫区築地町2-57

URL https://www.gripple.com/

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