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「ゲーム業界でエンジニアとして働くための実際」@神戸市立工業高等専門学校

「ゲーム業界でエンジニアとして働くための実際」@神戸市立工業高等専門学校

株式会社モノビット 代表 本城嘉太郎氏 による特別授業を開催!

2019.09.18

「世界一おもしろいゲームをつくる」という経営理念のもと、2013年に設立された株式会社モノビット(本社・神戸市中央区)。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術を駆使してゲームやコンテンツを開発する企業です。

神戸市出身の本城嘉太郎代表取締役社長が6月27日、神戸市立工業高等専門学校で、「ゲーム業界でエンジニアとして働くための実際」と題した特別講義を行いました。ゲーム業界やものづくりの魅力について、少年のように目を輝かせながら力説する本城さんに、学生たちも身を乗り出すようにして聞き入っていました。

ーー ゲームセンターに通いつめるほど生来のゲーム好き

この日の特別授業に対し、「将来を担うエンジニアの卵たちに、自分が学生だったころに聞きたいような話をしよう」と、楽しみに臨まれたという本城氏。電子工学科の4年生43人を前に、まず「ゲーム業界に興味ある人」と尋ね、挙手する学生たちに思わず頬が緩みました。

任天堂のゲームウォッチ、PC8800シリーズ、ファミコン、ソニー・プレイステーション、Wiiから、ガラケー、スマホでのオンラインゲーム、そしてVR(仮想現実)…。1980年代から現在に至るゲームの歴史や、業界内部の実情などを事細かに説明しました。

本城さんは19歳のころ、須磨区・板宿のゲームセンターに通いつめるほどのゲーム好きだったそうです。「当時はオンラインゲームも黎明期で、世界初の仮想空間での体験に衝撃を受けた。外国人が話しかけてきて、まるで海外旅行の感覚だった。こんな世界で生きたいと思った」と、ゲームに夢中になっていった経緯を話しました。少年のように目を輝かせ、力説する本城さんに、学生たちもだんだんと前のめりになっていきます。

ーー 学生時代を経て、フリーランスとして起業

大学に進学するも、やりたいことと学習内容にギャップを感じ、中退します。しばらくは、フリーランスになって、独学で必死にプログラミングを学びながら、企業などからプログラム制作を請け負っていたそうです。他人が制作したプログラムを修正する日々。何の面白みもなかったその2年間が、将来役立ったといいます。

「他人がつくったソースコードだし、出来上がったものの修正を任されても楽しくない。汚いソースコードもあったし、超大変だった。やっぱりゼロイチ(ゼロから1を作り出すこと)は楽しい。でも、今から思い返すとこの期間は、(自らの仕事、プログラム技術の)筋力アップの期間であり、結果として将来の役にたった。人のコードを読むスキル、修正するスキルが身についた」

「どんな仕事が自分を成長させるか分からない、目の前の仕事に邁進することも、時には重要だ。」そんなメッセージに、学生たちも頷きながら聞き入っていました。

ーー「伸びるエンジニア」に必要な素養とは?

フリーランスを経て、京都のゲーム会社で働いたときのエピソードです。急速に技術が進化するゲーム業界にあって、エンジニアは学びの日々です。昨日の情報が今日には古くなることもあります。ゲーム会社に入社した20代の本城さんに、40代の先輩が技術的なことを質問してきたことに驚きを隠せなかったと言います。
「入ったばかりの自分が先生扱いされた。40歳になっても20歳に聞ける人は優秀だ。知らないということに正直になるべき。プライドを持たず、素直に聞く。年上であれ年下であれ、素直に聞けばいい。そんな姿勢を学んだ」

素直さが、エンジニアとしての自分を成長させる鍵になる-。

この経験が、本城さんを凄腕プログラマーへと導く礎となったのかもしれません。

ーー「モノビット」の起業と神戸への本社移転

本城さんは、京都のゲーム会社を経て、2005年、27歳でモノビットの前身となる会社を起業します。ネットワークゲームの開発に着手し、2013年にはモノビットリアルタイム通信エンジンの販売を始めました。現在は、AI(人工知能)専門会社も設立し、その代表も務めています。

神戸へは「故郷に恩返しをしたい」と支社をつくり、社員が10人を超えた頃に、本社としました。東京75人に対し、神戸で働く社員は25人。働きやすい環境を意識しているそうです。インターンも募集中です。

また、社員育成では、「新卒から3年は面倒を見る」ことをモットーにしているといいます。エースクラスの社員も、入社からしばらくは芽が出なかったこともあったそうです。辛抱強くサポート、バックアップした結果、4年目になって急にパフォーマンスがあがったといいます。

「会社を辞めるかどうか悩んでいた人間がエースクラスに成長する。人の成長スピードは人それぞれ。粘り強く取り組み、あきらめずに続けて欲しい」

熱い訴えに、学生たちも真剣なまなざしで聞いていました。

ーー 学生からの質問

その後、学生から、エンジニアが起業する強みについての質問がありました。
本城さんは「エンジニアとして技術がある。まず倒産しない。防衛力は最大の武器」「ゲームの世界ではプログラマーが社長をやる強みがある」などと自らの体験談も交えながら回答しました。

「卒業後いきなり起業するよりも社会人を経験したほうが良いのでしょうか」との問いには、「社会人を経て起業するのか、いきなり起業するのかは人による」「社会人を経て起業するメリットは、会社のサポートを受けられるということ。日本の会社は、新人教育を無料でやるから」と語りました。

また、注目のAI(人工知能)については、学生からも展望を尋ねられ「AIは第3次ブームが来ている。あらゆる産業でAIが活用され、新しい革命が起きている。AI業界は超楽しい。びびることなく飛び込んで欲しい」とエールを送りました。

ーー 地元神戸に対するあふれる想い

授業の後、未来のエンジニア業界、ゲーム業界を担う可能性がある学生たちと触れあい、興奮冷めやらぬ本城さんに、地元神戸についての想いを改めて尋ねました。

「神戸が好きな人が、神戸に居ながら働ける。生まれ育った家に家族と住みながら働ける。社員には喜んでもらっている」

「神戸で働くことは、今の時代っぽい。東京で働くと、情報が不必要なくらい入ってくる。神戸では、がつがつせず、したいことに集中できる。ロハス的で、バランスよく生活しながら仕事ができる」

「なるべく神戸で採用して、新しい良い技術を作りたい。AR、VRなどを神戸発でやりたい」

「スタートアップ支援の都市としては、福岡や仙台などと比べると、神戸は一足早く有名になった。少し取り組みが早かった分、成熟していることが神戸の良さだ。例えば、中国はガツガツしているが、(いち早く発展した)ヨーロッパには、ガツガツさを通り越して精神的豊かさがある。(スタートアップ支援でいうと)神戸はヨーロッパの雰囲気があり、競争にさらされなくても良い利点がある。スタートアップ支援の取り組み自体は大変おもしろい」

神戸への思いが次から次へとあふれ出る本城さん。

高い熱量をもった言葉は、人に伝播し、その人の熱量を押し上げます。
この日、講義を受けた学生たちが、本城さんのように起業し、神戸の地へ本社を構える。そんな未来を予感させるような、熱のこもった講義でした。

その学生からは、こんな感想、メッセージが寄せられました。(一部抜粋)

● 最高でした。僕はゲームの開発、立案やプログラミングに興味があり、その方面を志していたのですが、その業界や実際の仕事内容等はマンガやアニメでしか知らず、茫洋としていました。そんな時に正に棚からぼたもち、ヒョウタンからコマの目から鱗な講義でした。話のまとめ方や進み方もテンポがよく、授業でこんなにも早く時間がすぎてしまっていたと感じたのは本当に久しぶりの経験でした。これからゲームのグラフィックはどんどんリアリティが増し、御伽噺が現実世界でも確かに体感できるようになる。エンジニアはそんな 「夢」を作り、探し求めるトレジャーハンターのようだなと思いました。

● 『自分らしさ』を貫くことの重要性と、我慢することの大切さ、またその両方のバランスを特に学ぶことができました。聞いていると私はあることに気付きました。それは、本城様自身がとても楽しそうに物事に挑戦されているということです。私もいずれは自らの学びから、挑戦をわくわくさせてくれる「モノ」を見つけだしたいなと強く思いました。

<株式会社 モノビット>

設立 2005年
代表者 代表取締役 本城 嘉太郎
事業内容 1. ゲーム&VR事業 2. ミドルウェア事業
所在地 神戸本社:神戸市中央区京町78番地 三宮京町ビル 3階 A号室

URL https://monobit.co.jp/

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