神戸市立工業高等専門学校・神戸IT業界研究会
2021.12.13
神戸市は近年、IT関連企業の誘致や育成支援に力を注ぎ、都市のさらなる活性化に取り組んでいます。また、エンジニアを目指す地元学生に向け、技術者たちによる特別講義を実施し、神戸で活躍するIT関連企業の魅力を発信しています。その一環として、2021年12月13日に神戸市立工業高等専門学校(以下、神戸高専)で神戸IT業界研究会が開催されました。今回は、神戸市にご進出いただいた11社が参加し、電子工学科4年生とディスカッションを行いました。
- 参加企業(11社)
- ACALL株式会社・ LRM株式会社・ 株式会社オプティム・ 株式会社システナ・ 株式会社Siba Service・ ためま株式会社・ 株式会社PPFパートナーズ・ 株式会社メディアオーパスプラス・ 株式会社メンバーズ・ monoAI technology株式会社・ リベラ株式会社
地元IT企業へ興味を深めるきっかけに
研究会は「地元で成長するIT企業から業界の情報を得て、将来の進路選択の一助としてほしい」という趣旨のもとに開催されました。自由闊達なコミュニケーションを図るため、各企業のブースを学生たちが回って対話をする、ラウンド形式を採用(1ラウンドあたり約25分を4ラウンド実施)。企業側から業界説明や事業内容のプレゼンが行われた後、質疑応答やワークショップで親睦を深めました。
最初は少し緊張した面持ちで席についた学生たちも、ラウンドを重ねるごとに笑顔がのぞき、次第にリラックスした雰囲気に。企業側の話に熱心に聴き入り、積極的に質問をする姿も見られました。
ワークショップでIT業界の今を体験
プログラムの中で最も盛り上がりを見せたワークショップでは、企業側が設定したテーマを学生たちに提示。「自分らしく働く」について考える(株式会社PPFパートナーズ)、「ウェブ業界で必要なスキル、知識ってなんだろう」(株式会社メンバーズ)など、多様なテーマが飛び交いました。
リベラ株式会社の「神戸の企業に求めること〜これがあったら就職する!」というテーマに対しては、「フレックスタイム制」「高給」「フリーアドレス」など、時代を反映した率直な声が学生からあがっていました。
また「仮想空間ビジネスの新規提案」(monoAI technology株式会社)のような実践的なテーマには、学生らが頭を悩ませる場面も。短時間で思考を巡らせ、「出会い系サイトを拡張した婚活」や「医療関係の勉強・研修での活用」などを提案し、活発な意見交換が行われました。
地元で活躍する若い人材を育成したい
学生らの様子を見守っていた電子工学科の戸崎哲也教授は、本研究会に寄せる思いを、次のように話します。
「以前、monoAI technology株式会社に特別講義を行っていただいた際の、学生たちの反応が非常に良かったことから、IT業界研究会を開催することになりました。特に電子工学科の学生はITへの関心が深く、プログラミングコンテストに出場するなど、学びへの探究心が旺盛です。学生生活では企業の方と対面で話す機会はあまりなく、就職活動を始める前のリハーサルとしても、本研究会は意義深いものになると期待しています。
IT企業は首都圏に集中していますが、スキルを磨くのに働く場所は関係ありません。学生たちには、地域貢献できる人材に育ってほしいと願っており、最先端で活躍する地元の業界の人たちと、在学中に触れ合える機会を持てるのはありがたいこと。次回は、他学科の学生も参加できるよう、学内に働きかけていきたいです」。
エンジニアとしての夢を膨らませて
4ラウンドが終了した後は交流会が行われ、学生たちは、聞き足りなかったことや疑問点などを企業側に投げかけました。
参加した学生の一人は、「各企業が求める人物像や、実務で必要とされる専門スキルなど、自分で収集するには難しい貴重な情報を入手できました。今後の就職活動がリアルにイメージできたことも大きく、参加して良かったと思います」と述べ、目を輝かせていました。
参加企業の中には、本校の卒業生の姿もあり、学生時代からの夢を実現させ、生き生きと働く先輩に、憧れを強くした学生もいたのではないでしょうか。
業界のことを深く知ってほしいと願う企業側の情熱と、知りたいと希望する学生側の好奇心が通い合う、アットホームな研究会でした。
株式会社Siba Service
神戸高専は、IT業界で活躍する将来を具体的に描いている学生が多く、好印象を持ちました。授業で修得した基礎技術の上に、自作プログラムを他者に評価してもらう経験を積んでおけば、就職活動でのアドバンテージになるでしょう。我々としては、地元にも将来有望な人材が多くいることを知る良いきっかけとなり、彼らが活躍できる職場環境について考える一歩になりました。
株式会社PPFパートナーズ
当社はITエンジニアの働く先や働き方を提案していますが、ワークライフバランスを重視する学生と多く接し、オープンマインドな意見を聞けたことが大きな収穫でした。年齢や経験より、スキルを重視するのがIT業界の特徴で、技術力があれば、社会人1年目から活躍できます。専門分野の基礎技術を持つ神戸高専の学生は、即戦力として期待できる人材がそろっていると実感しました。
株式会社システナ
エンジニアの具体的な業務内容や仕事のジャンルなどについて、学生たちの関心は我々の想像以上に高かったです。実務で最も重要なスキルがコミュニケーション能力と理解している人が多かったことに、授業レベルの高さと、学習に対する意欲的な姿勢がうかがえました。
ACALL株式会社
在学中にこのようなオープンな場で企業の人たちと触れ合うことは、学生にとって良い経験になったことでしょう。学生たちと話す中で、在学中にものづくりで課題を解決する経験を積んでおくことが、エンジニアになった時の強みになると感じたので、ぜひ授業でそういう機会を設けてほしいと思います。