仮想空間プラットフォーム「XR CLOUD」の活用レポート
2021.03.19
神戸市及び神戸商工会議所では、首都圏で活躍中の神戸にゆかりのある方々が一斉に集うイベント「神戸のつどい」を毎年東京で開催しています。
今年度は新型コロナウィルスの影響でリアルでの開催ではなく、仮想空間「XR CLOUD」で2021年2月12日に開催されました。
神戸のつどいは、市の主要プロジェクトPRブース等の出展により、神戸の情報を東京で発信し、神戸への関心を高めて頂く機会となっているだけではなく、神戸のつどいへの参加をきっかけに神戸市への進出を検討する企業や、参加者同士の交流も進んでいます。
Withコロナ時代を見据えた新しい事業発信方法の開拓や、Afterコロナを見据えた事業発信が必要であり、また、動画配信のみのような一方通行のオンライン開催ではなく、コロナ禍で人が会えない環境をテクノロジーで解決すべく、チャレンジングな試みではありますが、仮想空間の構築・イベント開催に至りました。
今回はその様子をお伝えします。
VR空間プラットフォーム「XR CLOUD」とは?
「XR CLOUD」は、国内最大規模の多人数同時接続が可能なVR空間プラットフォームで、事前にアプリをパソコンやスマートフォンにダウンロードすることで参加が可能となります。
そもそもXR CLOUDは、ゲーム向けに多人数が同時にプレイできるよう開発された高速通信エンジン「モノビットエンジン」を元にした技術であり、数万人が同時に接続できるVR空間プラットフォームです。
バーチャルな空間上で自分の分身であるアバターを動かし、他人のアバターとボイスチャットを使って会話ができ、拍手したり、名刺交換したりするなど数種類の身体を動かす機能を使って自己表現をすることが可能です。
XR CLOUDの開発元である「monoAI technology株式会社」は、神戸市出身の本城嘉太郎社長が起業した、ゲーム、VR・ARコンテンツの制作、リアルタイム通信技術やAIの技術研究まで最先端分野に強みを持ったエンターテインメント・テクノロジー・ベンチャーです。2017年には東京から神戸に本社を移転されています。
(参考記事:本城氏による「ゲーム業界でエンジニアとして働くための実際」と題した神戸高専での特別授業)
また、本城氏は、今回の神戸のつどいでは後述のパネルディスカッションのゲストとして参加されました。
大盛況だったバーチャル神戸のつどい
イベント当日は約400人がリアルタイムに参加。当日の様子を反響の大きかった話題を中心に、ダイジェストで紹介します。
仮想空間上にはリアルなイベント会場のように、神戸市の主要事業を紹介するブースが並び、中央にはメインの登壇スペースが設置されており、主賓のあいさつや講演、パネルディスカッションが展開されました。
また、別の部屋には令和3年4月、神戸三宮阪急ビルの15階に開設予定の「ANCHOR KOBE(知的交流拠点)」をイメージした仮想オフィスも出現。
イベント会場では神戸市の主要事業のPRブースが出展し、動画などのコンテンツを視聴できました。それぞれのブースに入るとPR映像を見ることができます。
各ブースには、ブーススタッフが待機しており、ブース来場者に話しかけるといった、リアルの展示会さながらの体験が可能でした。
メインステージでは久元喜造神戸市長のあいさつからはじまり、神戸商工会議所の家次恒会頭、理化学研究所計算科学研究センターの松岡聡センター長、川崎重工業株式会社の代表取締役副社長執行役員である並木祐之氏、社長直轄プロジェクト本部PCR 事業総括部総括部長(理事)である納土英明氏からあいさつがありました。
また、株式会社T-ICUの中西智之社長からは、神戸市や神戸市立医療センター中央市民病院と連携して新型コロナウイルス感染症患者の入院受入れを行う市内の医療機関に「遠隔集中治療支援システム」(遠隔ICU)を導入し、集中治療専門医が遠隔地からネットワークを通じて診療支援を行える体制の状況についての話がありました。
パネルディスカッション「今後のバーチャル空間でのあり方」
後半は、monoAI technology株式会社・社長の本城嘉太郎氏とコード・フォー・ジャパン代表の関治之氏、神戸市企画調整局医療・新産業本部新産業課イノベーション専門官の笠置淳信氏の3名が登壇し、「バーチャル空間が神戸にもたらす価値 -人がつどい、出会えること」のトークテーマで話が展開されました。
笠置氏から「神戸のつどいの仮想空間の構築にあたってどんな苦労があったか?」という質問に、本城氏は「非常に挑戦的な取り組みにも関わらず、神戸市の職員の方に多大な助けをいただきました。これを糧にもっと空間を安定させたい」と語りました。
本城氏は2020年7月にXR CLOUDをリリースして以降、毎週展示会やバーチャル入社式に活用できないかといった問い合わせがあり、もっとさまざまなニーズが将来出てくるのではとの予測を語りました。
行政や地域でどのように活用されていくと思うかの問いに、関氏は「コロナ禍でオンライン化して効率的に仕事ができるようになったものの、雑談の大切さにみんなが気づきはじめた」と語り、こう続けます。「今ちょうど日本で音声SNSアプリのClubhouseが流行っているのは雑談が必要なあらわれだと思っています」。
また、コロナ禍で人と人との交わりが少なくなった今、神戸がやるべきこと、立ち振る舞いについては、「ワクチンが普及してある程度集まれるようになったとしても、以前のようには戻らないことが予想されるため、例えば感染者や濃厚接触者のトラッキングができて、クラスターの発生が防げる、今何が起きているのかが把握できるセンサー等の環境づくりや、XR CLOUDのような仮想空間をはじめとしたデジタル技術の活用が大切だ」と語りました。
関さんによる雑談の大切さという話を受けて、本城さんはコロナ禍で在宅勤務となった今、自社のバーチャルオフィスをつくろうと考えているそうです。「Zoomよりもアバターの体が動くことで、より親近感が湧きます。仮想とリアルをうまく調和させて使うのが、これからのコミュニケーションに必要ではないかと考えています」。
締めの言葉として、関さんは「不確実性の高いこの時代において、誰かがリスクを取って挑戦していく必要がある。そういう意味で、行政がファーストペンギンとなり、リスクを取っていく意義は大きいと感じる。まさにこういったVR空間の活用のように、何が起こるかわからないけれど挑戦してみようという雰囲気になっているのがうれしい」と語りました。
神戸市では、新しい挑戦にこれからも前向きに取り組んでいきますので、ご期待ください。また、神戸に進出した企業に伴走し、いっしょに神戸の発展に挑戦していきたいと考えています。