神戸に本社を移し、
事業の可能性が広がった
2020.07.10
日本テクノロジーソリューション株式会社代表取締役岡田 耕治 氏
神戸に本社を置く日本テクノロジーソリューション株式会社は、包装機械のメーカーでありながらコンサルティングの提案を行うなど、幅広い事業を展開しています。神戸で思い描く未来図を代表取締役の岡田耕治氏に聞きました。
磨き上げた技術力を応用し、新市場を開拓
当社の始まりは1976年。兵庫県高砂市で創業し、岡田電気工業という名で大手電機メーカーのブラウン管の検査機器を製造していました。小さいながらも会社は成長し、順風満帆だったのですが、1999年に先代だった父親が他界。私はそれまで勤めていたコンサルティング会社を辞め、30歳の時に跡を継ぐことになりました。
ところが、間もなくして市場が大きな転換期に突入。取引会社がブラウン管の製造を終了することになり、液晶プラズマへの流れが加速しました。このままでは仕事がなくなると、今度は他社製品にも対応できる液晶プラズマの検査機器をつくったのですが、半年で価格破壊が起こってしまって。もうこの分野で勝負をしても将来はないだろうと見切りをつけ、技術力を応用して2001年から自社ブランドの製品開発を始めました。研究を重ねた末に誕生したのが「熱旋風式シュリンク装置TORNADO®」です。当時はダイオキシン問題が世間を騒がせていて、環境対応型のフィルムが注目を浴び始めたころ。当社もタイミング良く参入できて軌道に乗り、今では主軸の事業となっています。
持っている技術の棚卸しをして、マーケットをしっかりつかまえられればビジネスは成り立つという経験をし、見えたことはたくさんありました。もっと視野を広げるため、2004年に日本テクノロジーソリューションと社名を変更し、新事業をスタート。「優れた技術を優れたビジネスに」というコンセプトのもと、ものづくりの企業を中心に、セールスプロモーションや新商品開発のアドバイス、コンサルティングなどを行っています。
神戸でつながる新たな出会いが良い刺激に
2018年に神戸に拠点を構え、高砂から本社機能を移しました。最初は高砂市内で新しい土地を探していたのですが、なかなか気に入るところが見つからなくて。この場所は、神戸空港がすぐそばというアクセスの良さにひかれて決めました。神戸に移る際には、神戸市のみなさんにお世話になり、担当の方からの熱心な誘致の誘いにも背中を押されました。将来的には神戸空港が国際空港となり、アジア圏の企業ともよりスムーズに事業を進められるようになれば嬉しいですね。
交友関係に変化が生まれたことも、神戸に進出して良かったことの一つです。地域の経営者の集まりに参加させてもらっていますが、思考の幅が広がり、良い刺激になっています。日本酒と日本文化の魅力を国内外に発信している「一般社団法人ミス日本酒」との縁も神戸が結んでくれました。団体の活動を当社がサポートすることで、地域の人々との関係性も深まっています。
遊び心を取り入れた新社屋は、来訪者の評判がいいんですよ。オフィスはガラス張りにしたことで明るく開放的。外国人との商談時に喜ばれるよう和室も設けました。また、社員の心身の健康にも配慮し、敷地内に小石を敷き詰めた足つぼロードや小さな畑もつくっています。社員は楽しみながら好きな野菜を育てていますよ。こうした取り組みが認められ、4年連続で健康経営優良法人の認定を受け、今年は兵庫県の「健康づくりチャレンジ企業アワード」で最優秀賞をいただきました。恵まれた職場環境を手にできたのは、神戸だからこそと思っています。
コロナ禍で見つけた事業の新スタイル
新型コロナ感染拡大による自粛期間中に、仕事に対する私の考え方は大きく変わりました。リモートの社内会議が盛り上がり、そこで生まれたアイデアがいくつも実を結びました。オンラインでの商談では対面と変わりなく商品が売れ、採用面接もウェブでやってみると非常に効率がいい。新しい発見でした。展示会は早いうちからオンライン開催に切り替え手応えがあったので、次はVRを活用した進化型を構想中です。
当社は東京支社や福岡オフィスもありますが、在宅でも支障なく仕事ができることがわかった今、各地に拠点を置かなくてもよいのではないかと思い始めました。ただ一方で、在宅が定着すると集える場の重要性も増します。変わらない場所があることは社員の安心感につながるのだと実感。神戸の自社オフィスの存在意義が一層高まっています。
神戸の強みを生かし、外国人採用に注力
これからのビジネスは海外とのつながりがカギとなるでしょう。異文化を受け入れ、さまざまな価値観を共有できる会社が求められていくと思います。当社ではすでに2人の中国人が働いていますが、スリランカやパキスタンなど、今後は多国籍な人材の採用にも積極的に取り組むつもりです。すでに国際都市としてのパワーを備えている神戸は、優れた能力を持った外国人が多くいます。これも、この街特有の魅力ではないでしょうか。
周りの零細企業は即戦力を求めて、中途採用しかしないところがほとんど。私が新卒を採用し外国人を雇っていると言うと、コストもかかるし、どう活かすのかとよく聞かれます。人材はコスト(費用)ではなくキャピタル(資産)。人と事業をセットで考え、新しい人材を活かすために新しい事業を立ち上げるのが私の仕事の流儀です。多国籍な仲間を増やすことは、新たなものを創造するヒントをもらうため。人がいないと会社の発展はなく、おもしろいこともできません。
私がチャレンジを続ける原動力となっているのは「恐怖心」です。少しネガティブに聞こえるかもしれませんが、若くして会社を背負い、事業がなくなるかもしれないという経験すると、転んだ時のために身を守れる力をつけておきたいという思いが芽生えます。いつまでも挑戦する気持ちを忘れず、神戸からどんどん新しいものを生み出していきたいと思います。
日本テクノロジーソリューション株式会社
設立 1981年
事業内容 問題解決型事業 1)テクノロジー事業 2)ソリューション事業
所在地
■神戸本社/〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町7-2-8
■高砂工場/〒676-0001 兵庫県高砂市中島2-7-32
■東京支社/〒103-0027 東京都中央区日本橋1-2-10 東洋ビル4F
■福岡オフィス/〒812-0011 福岡市博多区博多駅前3-6-12 オヌキ博多駅前ビル6F
■台湾オフィス:日商思樂新股份有限公司/臺北市中山區南京東路三段200號7樓